男性主体の業界ながら女性も活躍!
消防設備の法定点検行う自社作業の防災屋さん
株式会社よつばメンテナンス
黒須貴子社長
(南)
今日は、株式会社よつばメンテナンス代表取締役黒須貴子社長にお話を伺いたいと思います。
宜しくお願いします。
(黒須)
よろしくお願いします。
株式会社よつばメンテナンスの代表取締役黒須貴子です。
今日は楽しみにしていました。
――事業内容
(南)
最初に事業内容について教えてください。
(黒須)
わたくし共は、消防設備の法定点検を行っている会社です。
強みとしては、自社で技術者を育成して管理から現場の作業までを全てワンストップでサービスを提供しているという所と、この業界ではまだ少ない女性の消防設備士が在籍しているので、マンションのお部屋など女性専用施設にも特化しているという特徴があります。
――女性の消防設備士の強み
(南)
女性の消防設備士が部屋に来て消防設備を点検してくれるのは嬉しいなと思っていて、そういう風に言われる方結構多いのではないでしょうか?
(黒須)
特にマンションの点検の際に言われますね。
主婦の方がおひとりでお留守番されていることが多いので、いろいろ質問を受けます。
男性の消防設備士ですと聞きづらかったことが、女性の消防設備士ですと話しやすいという事があります。
ポンプを回したり、放水試験をしたり、重たい設備をおこなう際は男性の方が適性はあるかと思いますが、女性の消防設備士の場合はマンションのお部屋を回ったり、産婦人科や女子寮、24時間営業のスーパー銭湯などの点検の際には特に重宝されます。
男女の消防設備士がいることで、スムーズに点検ができると感じました。
(南)
私も美容サロンを経営しているので、男性の消防設備士が点検にいらっしゃるとお店の営業をストップしないといけなかったり、自宅にひとりでいる時に、もちろんそんなことはないとは思いますがちょっとストレスが掛かってしまうので女性の方が来てもらえると1ユーザーとしてはすごくありがたいなと思います。
(黒須)
在宅率の関係でマンションだと土日指定が多いんですよ。
そうすると女性の皆さんパジャマだったり、男性の消防設備士が来ると「スッピンでは」とか気になってしまうんですが、女性の設備士ですと「今すぐ入って大丈夫」と実際に言われたりします。
(南)
私も指名できるなら、黒須さんを指名したいです。
(黒須)
なので現在のお客様も、女性の方をひとりチームにいれているので、女性の更衣室なども安心して任せてくれます。
――新型コロナウイルス流行が与えた影響
(南)
消防設備管理業界をメインにやられていて、今後の見通しというか新型コロナウイルスの流行で色々大変だったと思うので自社業の変化とかありましたら教えてください。
(黒須)
そうですね。
緊急事態宣言が発令された時に、行政の方も判断はすごく難しいなと聞いた時に感じたんですが、業務は止めることはできないので続いていました。
ただマンションのお部屋の中は、気緊急事態宣言の間は控えて共用の部分だけを点検していました。
ただ中止・延期になったり点検の一部を後ろ倒しにしたり、そういった所ではダメージはありました。
――感染の恐れがある不安の中で・・・
(黒須)
一番心配だったのが、スタッフの感染ですね。
判断はものすごく難しかったんですけど、緊急事態宣言が発令される前後は、何度も社内報で会社の方向性について情報共有をしました。
それを全部一人で考えていたので、こういう時こそリーダーシップの必要性をものすごく痛感しました。
とにかく色々な所で情報を得るようにして、「あっ!これはいんじゃないか」と、自分の中で腑に落ちたものを取り入れるようにして早く行動することを心掛けましたね。
――自社業の変化
(黒須)
事務関係の人に関しては、交代勤務と時短にして必要最低限で事務所を回す。
現場に出ていく人に関しては換気、検温、オキシメーターの検査、消毒をして、営業に関してはテレワークを導入しました。
ちょうどよかったのが、今まで武蔵浦和の事務所がひとつだったんですけど、去年幸手の方に経理と総務がある本社を構えたこともあった関係で、会社のデータベースを全てクラウドにアップロードを終えていたんですよ。
なのでモニターで営業所と本店をオンラインで繋ぐということもできていたので良かったです。
(南)
コロナウイルス流行とは関係なく先を見据えてやられていたということですか?
(黒須)
そうですね。昨年には終えていました。
見積もりの作成ソフトをオンラインでも出来るようにクラウド化して、拠点を変えても通常通りに仕事ができるようになっていました。
(南)
リモートワークの先駆けですね!
(黒須)
結果的に緊急事態宣言の間もスムーズに仕事をすることが出来ましたね。
――コロナ危機をチャンスに!
(南)
コロナウイルスが流行してから、様々な業種の企業に大きな影響を与えています。
黒須社長の見解としては、コロナ危機を乗り越えられると思いますか?
(黒須)
そうですね。逆に無駄に悲観的になるよりも、世の中の形態がひっくり返ると思うんですよ!
なのでここはビジネスチャンスと捉えるようにしました。
チャンスという言い方もあれですが、従業員数も40人抱えていて、また男性が多く家庭を支えている方も多くいます。
その方のご家族も数えると、何人もの生活が懸かってるんだと考えると、判断のタイミングがすごく迷いましたしリーダーシップの重要性を感じました。
――何が正解か分からない中でも苦悩・・・
(南)
私達も今まで経験した事がないような状況が、今年は起きてるじゃないですか。
判断するのは私たち経営者の仕事だと思うんですけど、何が正解か誰も分からない中での判断だから辛いというか、苦悩がずっと私にもありました。
(黒須)
だから政治家の方とか、企業のトップの方とか判断をしていかなければならない方達は難しいだろうなと思います。
テレビなどで自粛警察と呼ばれる、誰かの行動に対して過激に批判するような行為は悲しいと思いました。
――黒須社長が考えるリーダー像
(南)
先ほどからリーダーシップの必要性についてお話しされる場面がありましたが、黒須社長がリーダーシップで大事にされていることって何かありますか?
(黒須)
今回のコロナウイルス流行を受けて感じたんですけど、リーダーシップで有事の際には冷静さが必要だと感じました。
普段は情熱で突っ走ればいいと思うんですけど、逆に今回のようなことが起きて会社を守らなければならない場合になった時に、今度は俯瞰してみて冷静になって行動することの重要性を実感しました。
(南)
すごく共感できます。
有事の際「この人について行こう!」って思えるのはそういう所なのかなと思います。
女性は結構感情的になってしまう事が多いので。男性もそうなのかもしれませんが・・・。
こういった中で不安な時こそ黒須社長のような人にみんなついて行こうという気持ちになるのかなと思いました。
――今後の抱負について
(南)
今後の抱負というかこういった状況がある中で、コロナ危機を乗り越えた後、もしくは乗り越えて行くために今後の事業展開で考えている事がありましたら教えてください。
(黒須)
実はコロナウイルス流行の前から、今までの資本主義の常識ではなくなるなと感じていました。
創業から10年間は下請けに丸投げから脱却して、ワンストップで経営してきました。
この先の10年は、数年模索して来たんですけど、1つ目にテクノロジーを活用することだと思います。
労働力の負担を軽減する為には、ITをどんどん活用して人間にしかできない事に仕事を特化すればいいので、まずはITの活用を考えたいです。
会社のデータベースをクラウド化した話もそこに繋がっています。
2つ目は自然との共存です。テクノロジーの活用とは真逆のようなんですけど、例えば再生エネルギーとか、わたし数年前から山が欲しくて・・・。
(南)
そうですよね!
以前からおっしゃってましたよね。
(黒須)
夫婦喧嘩になったくらいです。
旦那は「マンションが欲しい」と言っていて、わたしは「マンションじゃなくて山が欲しい!」って・・・、資源が何よりも大事だと思うんですよ!
何年か前に会社のミーティングの時に話したら、その時には社員にも笑われました。
でも今コロナ渦でそれが加速したと思うんですよ。
都市部に集中するのではなく地方でもオンラインで繋いでいく事で、もっとコミュニケーションが深まると思います。
そこが大事になってくると思うのでITと自然共存ですね。
最後にはなりますが、個人の才能を伸ばせる会社でありたいですね。
今までは会社のシステムにはめる人を教育してきましたが、平均点をとるのではなく誰でも苦手なもの得意なものがあるので。
わたしの場合はお金の計算が苦手で・・・。
(南)
そうなんですか!
そんなイメージ全然ないです。
(黒須)
すごい嫌なんですよ。
だけど経理が得意な方の場合「数字を見るのが大好きで!」と言われるので安心して任せられます。
得意なものって好きだしストレスにならないので、そんな環境づくりをしたいなと思っています。
それが今後の抱負です。
――ガンを乗り越えた黒須社長の底力
(南)
色々なことをやられていて、山を購入し社員の働き方や今後のテクノロジーの活用についても考えていて、先手を打つ意味でも今後の事業展開について考えておくと良いですよね。
(黒須)
そうですね。
緊急事態宣言の期間が終わった後にドローンパイロットの資格を取りにも行きました。
(南)
ドローンを操作できる資格なんですか?
(黒須)
そうですね。
ドローンを飛ばす場合は、事前にドローン飛行の許可申請が必要になります。
建物の外壁や屋根の診断で使用するためにドローンの資格を取りました。
(南)
先を見据えてのドローンの資格取得だったんですね!
(黒須)
今月下旬にも購入した山でドローンを飛ばしにいきます。
(南)
山を購入したのもそこに繋がってるんですね!!
(黒須)
ドローン飛ばしたい放題です(笑)
そのほうが接触事故の危険もないので。
(南)
ドローンを飛ばせる場所って決まってるんですよね?
(黒須)
そうですね。
埼玉県内でも調べれば飛ばせるところもあるんですけど、どうせなら私有地で飛ばした方がいいので山を購入しました。
(南)
全部ビジョンが繋がっていますね。
会社の今後や働き方も考えて、山も購入されて、外壁や屋根の診断を視野に入れてドローンの資格を取得して山で練習ができる。
しっかりと計画されていますね。
(黒須)
やりたいことはどんどん浮かんできます。
ただ体力が追いついていかないのが残念ですね。
去年ガンになってしまって手術もしましたし・・・。
有り難かったのはガンの経験を経て、手術から抗癌剤治療までフルコースで経験しているので昔より心に余裕ができました。
「良い経験したな」と思います。
(南)
すばらしいですね。
強さの源を聞けたというか、黒須社長の芯の部分に迫れたかなと思います。
勉強になりました。
――これから起業する方にメッセージ
(南)
今回のお話ってすごい勉強になるし、これから女性たちが起業していく中でモチベ―ションになるし、黒須社長の背中を追いかけていく女性が沢山いると思うので、これから起業を考えている方、起業してまもない方にメッセージをお願いします。
(黒須)
起業されている方を見ると、キラキラしている方や綺麗な方が多いので憧れとか、わたしも見ていて幸せな気分になります。
ただ一人一人の方とお話すると感じるのは、それなりのご苦労とか見えない所で簡単にやってるわけではないんだというのはすごく感じます。
大変だったんだなって、自分自身も体感しています。
しかし起業という選択をして、後悔しているかと言われたらそれはまったくありません。
「大変だけど面白い」です。
今だったらスマホひとつでインターネットで全部調べられます。
ご自分の力でなんでもできる時代になってきているので、起業したいという方は、チャレンジすると楽しいと思います。
(南)
ありがとうございます。
――最後に
(南)
株式会社よつばメンテナンス代表取締役の黒須貴子社長にお話を伺いました。
今日はありがとうございました。
(黒須)
ありがとうございました。